研究記録
テーマ 電子手帳
電子手帳は紙の手帳を越えられるか
1990.7〜1991.4 機関誌発表 TwoWay102号
手法 実態調査 電子手帳を使っている人70名、電子手帳を手に入れたが使わなかった人33名に使用状況や使わなかった理由などをアンケート調査。
取材調査 メーカーの開発担当者に、各機種の特徴や使い方、今後の開発の方向性などを取材
使用テスト モニター8名が仕事の場で実使用して評価
確認テスト テスター5名が、住所入やスケジュールの入力、訂正、検索のし易さなどを、電子手帳6機種について、を同時に確認
対象商品 メーカー 機種名 価格
シャープ PA-8600 28000
カシオ DK−5000 28000
セイコー電子工業 EX−3000 28000
日本電気 ET 34800
セイコーエプソン PRO-500N 24800
参考商品 キャノンAIノート IN−5000 75000
研究概要
電子手帳は実用的な情報機器へ接近したといわれ、新規メーカーの参入も相次いで、注目度の高い商品であるが、紙の手帳と比較してどうかという視点で研究し、使用テストを行い、各機種の特徴を明らかにした。
実態調査より、電子手帳の魅力は、検索機能・ICカード・パソコンとの互換など電子機器としての魅力である。多機能な為、自分で買った人は使いこなせるが、もらった人の半数は使いこなせずに宝の持ち腐れになっている。住所録として活用している人が75%で、入力は、通勤電車の中でもという人も4人に1人。注目されている割には通信機能を使っている人は5人に1人。システム手帳と併用している人が75%ということは、スケジュール機能などの点で紙の手帳を越えられないということだろう。
使用テストでは、住所録の入力は思ったよりスムーズで、特にカシオは漢字変換が抜群であった。手書き入力は、セイコーエプソンはなかなか優秀だが、漢字の書き順が違っていると認識しない。キャノンはひらがなを手書き入力した後漢字変換させるタイプで、時間がかかるので実用に適さない。スケジュール機能は、電子手帳は画面の大きさが限定され一覧性に劣るので、月・週・日の画面の切り替えの早いことが大切である。この点では日本電気ETが使い易い。メモの速記性ではシャープとカシオ、メモの一覧性ではカシオ、日本電気が優れている。データー互換はまずまず実用的。
マスコミ等の反響
朝日新聞
日経アントロポス