研究記録
テーマ パーソナルワープロの比較研究
家庭使用を中心に
1988.4〜1989.4 機関誌発表 TwoWay90号
手法 実態調査 家庭でワープロを使っている女性113名にアンケート
使用テスト 家庭でワープロを使っているモニター8名が、8メーカーのワープロ8機種のうち4機種を使って、報告書・住所録・家計簿を作成。延べ20日間(1日5時間)使用し、各機能を評価した。
確認テスト @変換について ・変換のスムーズさ・学習機能・訂正のしやすさを、スタッフ1名とワープロ経験のある女性5名でテスト
Aその他機能テェック ・操作性9項目・基本機能のうち、入力、保存、印刷についての18項目及び、拡張機能7項目に付いて比較検討。スタッフ2名と女性コンピューター技術者1名が担当。
B印刷スピードとインクリボンの経済性について一定条件で使用し、計測比較。
対象商品 メーカー 機種名 価格
日本電気 文豪ミニ5HL 168000
富士通 オアシスライト・フロム11D 138000
東芝 ルポJW90FX 168000
松下 パナワードFW-UIP501 165000
セイコーエプソン TP-650 158000
キャノン キャノワードα3スーパー 148000
シャープ 書院WD−310F 148000
参考商品 サンヨー ES100 168000
研究概要
「家庭で使うパーソナル機器」としてのワープロを女性ユーザーの目からとらえ、現在のワープロが備えている機能が実用面でどこまで有用か、誰にでも使いやすいのはどんなシステムか、それらの点でどの機種が優れているかを明らかにしようとした。
オフィス機器として1970年代末に初めて発売された日本語ワープロは、機能の飛躍的向上と低価格化にあいまって、誰にでも使えるパーソナル機として個人の所有率も2割を越えるまでになった。
そこで、パーソナル機としては主要な価格帯である15〜16万円の大型液晶画面ラップトップ型の機種を中心にとりあげ、女性ユーザーの目で比較テストを行った。
実態調査より、ワープロを仕事がらみで購入した人も多く、仕事分野では報告書・企画書などに、家庭分野では手紙・住所録などに使っている。今後したいこととして、データベースを使った家庭内情報処理、計算機能を使っての家計簿があげられた。
今回のテストでは、おおむね、変換時の的中率・学習・訂正の各機能が充実し、使用者のニーズに応えうるものが多くなってきていた。反面、印刷スピードなどスピード面がまだ充分満足できるものではなく、拡張機能のグラフや図形、表計算などは、使用面で問題となる点もまだ多いものであった。
誰にでも使いやすいものが高く評価され、機能アップしてきている中で機能の充実面で差があり、オフィスに普及しているメーカーの機種が必ずしも評価が高くはなかった。また、拡張機能の使いやすさなどの点で特徴が見られ、使用目的に合った選択も必要と思われた。
今回のテストでは、基本機能・拡張機能が全体にバランスよく評価がよかったのは、松下・東芝・キャノンであった。